2011年11月18日金曜日

不運 エアプレーン

仕事運、金運、健康運、勝負運、恋愛運、飛行機運。
不幸にも自分には飛行機運がない。

飛行機バッドラックその1 19歳 ヒースロー空港にて。

帰国すべくスーツケース、手荷物を計量。15キロオーバー。
これを飛行機に搭載すると7~8万かかる。小生、終始貧乏学生。生憎そのような円も£もない。
不要と見なされるものは勢い良くためらい無くゴミ箱に廃棄。必要なものを国際郵便で発送。
スマート。聡明。インテリジェント。いかす。クレバー。機転が利く。金がないと工夫する。いいぞ俺。
その作業に小一時間。気分良く受付窓口へ。重量らくらくセーフ。すごいぞ俺。
チケットを見るなり青ざめ、目を丸くし、トランシーバーで何やら忙しく話し出す添乗案内員。

厭な予感がした。荷物の仕分け及び発送に没頭する余り遅刻したのではないか。と思った。
果たして、大幅な遅刻であった。
その便、俺以外の乗客は既に全員搭乗済だと言う。
一人の東洋人の個人的な事情により大勢の時間を奪ってしまう。非常に焦燥。冷や汗。
走った。
口から心臓を飛び出させながら走りに走った。
バスが待っていた。そこには見たところ60歳くらいの優しそうなお爺さんがちょこんと座っていた。
良かった。遅刻者は俺だけではなかった。ダメな思考によるダメな安堵感が背中を撫でた。
バスに乗り込む俺と優しそうなお爺さん。口中、鉄の臭い。やっと着席。

そのお爺さんはバスの運転手だった。

人生初の貸切バス。車内に漂う悲壮感。孤独感。俺なんか死ねばいいのに感。
搭乗者全員に蔑みの眼差しと私刑を受ける覚悟で搭乗。
飛行機内、幸いにも蔑みも辱めも叱責もなく、それから約1時間待ち、無事離陸。着陸。帰国。
あの時の添乗案内員様、運転手様、誠に申し訳ありませんでした。


飛行機バッドラックその2 26歳 福島県上空にて。
新婚旅行、北海道からの帰り道。もうすぐ福島に着く。着陸に備えシートベルトを装着。
手荷物の管理、到着時刻の把握、帰宅後の予定。完璧である。全てに於いて不備なし。

膀胱が限界である。膀胱がデスペラート。膀胱からレッドアラート。アウトオブコントロール。

膀胱をリリースすべく無言でシートベルトを外し起立。
俺を見るなり青ざめ、目を丸くし、駆け寄る客室添乗員。
危険極まりない。座ってくれ、ライトナウ。と言う。
ノー。座らない。正しくは座れない。俺だって大人しく座っていたい。あなたの意見は正論だ。
俺の意見も聞いて欲しい。必ず納得するから。ただただわたしの膀胱が限界なのです。
隣に座っている嫁のお腹には子供が居るのです。一児の父になろうとしている人間が、
嫁とまだ見ぬ子供の隣で失禁するのは、倫理的にうまくないでしょう。そうでしょう?
そのため今すぐトイレに行き、膀胱をリリースする必要があるのです。納得しましたか?
危機的状況。要約して口から出た言葉は「トイレに…」だった。

無事、リリース。2パイントくらい放出。平常を取り戻し着席。無事着陸。
あの時の添乗案内員様、誠に申し訳ありませんでした。

で、冒頭に飛行機運と書きましたが、この2つのケースの場合、運ではないのです。
その1…出発前にスーツケースを計量すれば危機回避できた。
その2…搭乗前にトイレに行き放尿すれば危機回避できた。
なぜそれをしなかったかと言うと、面倒くせえから。くさし。
それ以降、面倒くせえと思うことこそ念入りにこなすようになったのです。
何か行動を起こしてうまくいったときは、たまたま。
うまくいかなかったときは原因が必ずある。
何らかの結果に対して運という言葉を考えもせずにやすやすと持ち出すのは好きじゃない。
出来る限りの工夫をして、準備を整えておけば運なんていうものに結果は左右されないのです。
次の飛行機よ、首を洗って待つが良い。用意周到にしておく。
俺は貴様の機内で快適に悠々と過ごしてやるのでどうか宜しくお願い致します。

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